【クリニカルリーズニング】股関節外旋ROM制限を呈したTHA後の症例

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今回はTHA後(術後2ヵ月)で外旋ROM制限が生じている症例です。

クリニカルリーズニング

理学療法評価

  • 外旋ROMは1st0°、2nd0°、3rd0°
  • エンドフィールは硬い軟部組織伸張性である
  • 大腿筋膜張筋、中殿筋、長内転筋、梨状筋に伸張性低下を認める

エンドフィールが硬い軟部組織伸張性であることから制限因子は筋、あるいは関節包や靭帯の拘縮であると考えられます。
また、内旋作用を持つ筋の拘縮が考えられるものの、いずれの肢位でも外旋ROMが0°であることから筋よりも関節包や靭帯の拘縮の影響が大きいことが示唆されます。

筋以外に股関節外旋時で緊張する組織は腸骨大腿靭帯と恥骨大腿靭帯です。腸骨大腿靭帯の上部繊維は股関節内転+外旋で、下部繊維は股関節伸展+外旋で最も伸張されます。

理学療法

筋や関節包などの拘縮に対して、臨床で即時的に効果がある運動療法や物理療法についての十分なエビデンスは現在のところありません。
ただし、ストレッチングに拘縮の回復促進効果があること、筋弛緩と関節可動域運動などを頻回に継続すれば拘縮が徐々に改善する可能性があることが言われています

以上の理由により、今回は拘縮改善を目的にストレッチングを行います。

ストレッチングは股関節内転+外旋(腸骨大腿靭帯上部繊維の伸張)、股関節伸展+外旋(腸骨大腿靭帯下部繊維の伸張)の肢位で実施します。
実施時間と頻度については、ヒトを対象とした研究を見つけられなかったため、ラットの膝関節を対象としている参考文献5を参考にして、50秒間の持続的ストレッチと10秒間の休止を5set/日で行います。

今回の症例はTHAです。脱臼肢位(股関節の過屈曲と股関節屈曲+内転+内旋と股関節伸展+内転+内旋)に十分に注意して行います。

参考文献

  1. 市橋則明編(2016)『理学療法評価学 障害別・関節別評価のポイントと実際』文光堂.
  2. D.A.Neumann(2012)『カラー版 筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版』嶋田智明・他訳, 医歯薬出版.
  3. 日高惠喜・他(2008)「腸骨大腿靭帯のストレッチング肢位の検討:未固定遺体標本を用いた定量的分析」, 『理学療法学』35(7), pp. 30-35.
  4. 沖田実(2015)『関節可動域制限 第2版-病態の理解と治療の考え方』三輪書店.
  5. 武村啓住・他(2004)「ラット膝関節2週固定後の拘縮に対するストレッチが関節構成帯に及ぼす病理組織学的影響」, 『理学療法学』31(1), pp. 76-85.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。