【文献紹介】大腿骨近位部骨折術後の杖歩行の獲得と歩行速度には何が影響しているか

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大腿骨近位部骨折術後の杖歩行の獲得と歩行速度に影響しているものはなんでしょうか。

これが分かれば、どんな運動療法を重点的に実施するかを考える手がかりになります。

 

今回は、川端氏らが執筆した”大腿骨近位部骨折術後例における杖歩行の可否・歩行速度を決定する可変的要因の検討”という論文の紹介です。

イッコロ
可変的要因とは、筋力、栄養学的因子、疼痛、バランス能力、荷重時期、術前待機日数などの医療的介入により改善が可能なものです。

不可変的要因とは、受傷前歩行能力、認知機能、年齢などの医療的介入により改善が困難なものです。

 

対象

大腿骨近位部骨折術後の144例が対象です。

 

【対象の骨折型と術式】
大腿骨頸部骨折
大腿骨転子部骨折
大腿骨転子下骨折
人工骨頭置換術
骨接合術(γ-nailまたはlong γ-nail、Compression Hip Screw、ピンニング)

 

このうち、除外基準にあてはまったものを除いた104例が分析対象となっています。

分析対象の平均年齢は81.8±7.6歳、術後経過日数は50.6±18.4です。

分析対象となった104例を杖歩行にて介助なく50m以上の歩行が可能か否かで歩行可能群61例と、歩行介助群43例に分類しています。

 

【除外基準】

  • 認知症老人の日常生活自立度がランクⅡ・Ⅲ・Ⅳ・Mに該当する症例
  • 中枢神経疾患の既往を有する症例
  • 合併症により転科した症例

 

【認知症老人の日常生活自立度】

  • Ⅰ…何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している状態
  • Ⅱa…日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭外で多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態
  • Ⅱb…日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭内で見られるようになるが、誰かが注意していれば自立できる状態
  • Ⅲa…日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが主に日中を中心に見られ、介護を必要とする状態
  • Ⅲb…日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが夜間にも見られるようになり、介護を必要とする状態
  • Ⅳ…日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする状態」
  • M…著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態

 

方法

  • 年齢
  • 性別
  • 身長
  • 骨折型 ( 頸部/転子部/転子下)
  • 術後経過日数
  • 健患側の等尺性股関節外転筋力
  • 健患側の等尺性膝関節伸展筋力
  • 疼痛
  • 脚長差
  • 杖歩行の可否(杖歩行にて介助なく50m以上の歩行が可能か否か)
  • 10m歩行速度

 

これらの項目から多重ロジスティック回帰分析および重回帰分析にて、杖歩行の可否、歩行速度に影響を与える要因を検討しています。

 

結果:杖歩行の獲得と歩行速度を決定する要因は異なる

【杖歩行の可否に影響を与える要因】

  • 患側股関節外転筋力
  • 疼痛

 

【歩行速度に影響を与える要因】

  • 患側膝関節仲展筋力
  • 年齢

 

参考文献

  • 川端悠士, et al. “大腿骨近位部骨折術後例における杖歩行の可否・歩行速度を決定する可変的要因の検討.” 理学療法学 41.6 (2014): 347-354.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。