股関節内転筋”群”という呼び方から脱却しましょう!

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股関節内転筋”群”の機能低下がある。

複数の内転筋に機能障低下があるなら”群”で一括するべきですが、そうでないならどの内転筋なのか鑑別する必要があります。

この記事では股関節内転筋の各筋の解剖と作用について書いています。

恥骨筋の解剖と作用

英語ではpectineusといいます。

恥骨筋

起始恥骨櫛
停止恥骨筋線
支配神経大腿神経(L2~L3)
作用股関節の屈曲、内転、外旋

股関節伸展や外転の他にも屈曲の制限因子になることもあります。

恥骨筋の過剰収縮により屈曲に伴う大腿骨頭の後方滑りが阻害され、鼡径部に疼痛が生じます。
この場合、恥骨筋の張力が小さくなる肢位、つまり股関節外旋位での屈曲で疼痛が軽減することが特徴です。

短内転の解剖と作用

英語ではadductor brevisといいます。

短内転筋

起始恥骨結合と恥骨結節の間
停止大腿骨の粗線内側唇の上部1/3
支配神経閉鎖神経(L2~L3)
作用股関節の屈曲、内転、外旋

長内転筋と大内転筋の筋性部の間に走行しています。

長内転筋は触診できますが、大内転筋の筋性部と短内転筋は深部であり触診できないので圧痛をとるのは困難です。
なので、せめて長内転筋の圧痛ではないことを確定できるように長内転筋の触診はきちんとできるようにするのが大切です。

短内転筋は長内転筋とともに活動すると言われています。

股関節屈曲50°で屈曲‐伸展の作用が逆転し、50°までは屈曲作用があります。

長内転筋の解剖と作用

英語ではadductor longusといいます。

長内転筋

起始恥骨結節の下方
停止大腿骨の粗線内側唇の中1/3
支配神経閉鎖神経(L2~L3
作用股関節の内転、外旋
股関節が屈曲60°未満なら屈曲
60°以上なら伸展

股関節屈曲60°を境に屈曲ー伸展の作用が逆転します。
60°以下で屈曲、60°以上で伸展の作用をもちます。
股関節外転ROM制限がある場合、屈曲60°で外転ROMが拡大するなら長内転筋が制限因子であると考えられます。

また、スカルパ三角の内側辺を構成する筋でもあります。
スカルパ三角には大腿神経、大腿外側皮神経、大腿動・静脈、腸腰筋、恥骨筋が通ります。
触診できるようにしておくと便利です。

大内転筋の解剖と作用

英語ではadductor magnusといいます。
筋性部と腱性部があります。

大内転筋

起始筋性部:恥骨下枝
腱性部:坐骨枝、坐骨結節
停止筋性部:大腿骨の粗線内側唇
腱性部:内転筋結節
支配神経閉鎖神経(L2~L4)
脛骨神経(L4~L5)
作用筋性部:股関節の屈曲、内転
腱性部:股関節の伸展、内転

腱性部は内側広筋と連結しており、その場所は広筋内転筋腱板といいます。
そのため、大内転筋の活動は内側広筋の活動にも関与します。

内側広筋のトレーニングは大内転筋腱性部の収縮と同期、つまり股関節伸展と内転を複合すると効果的であると考えられます。

また、内転筋裂孔(大内転筋の筋性部と腱性部の間)と広筋内転筋腱板により内転筋管が構成され、内転筋管には伏在神経が通ります。

伏在神経の絞扼により膝関節内側~下腿内側に沿って放散痛が生じます。
鵞足部の炎症と間違わないように注意が必要です。

薄筋の解剖と作用

英語ではgracilisといいます。

薄筋
起始恥骨結合の外側
停止脛骨粗面の内側
支配神経閉鎖神経(L2~L3)
作用股関節の屈曲、内転
膝関節の屈曲
下腿の内旋

股関節内転筋のなかで唯一の二関節筋です。
縫工筋、半腱様筋とともに鵞足となり脛骨粗面の内側に停止します。

鵞足部痛のトリガーマッスル鑑別テストの股関節外転位+膝関節屈曲位からの膝関節伸展で疼痛が生じると薄筋が原因です。

股関節屈曲40°で屈曲‐伸展の作用が逆転し、40°までは屈曲作用があります。

参考文献

  • 河原広至(2004)『肉単(ニクタン)~語源から覚える解剖学英語集~』河合良訓監修, エヌ・ティー・エス
  • 林典雄(2006)『運動療法のための機能解剖学的触診技術-下肢・体幹』青木隆明監修, メジカルビュー社
  • A. I. KAPANDJI(2010)『カラー版 カパンジー 機能解剖学 Ⅱ.下肢 原著第6版』塩田悦仁訳, 医歯薬出版.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。