股関節伸展ROMの制限因子とROM制限による腰痛について

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股関節伸展ROM制限は動作障害だけでなく、腰痛の一因になります。
腰痛の改善には腰部のどこにどのようなストレスがかかっているかを把握することが大切です。
また、腰痛の一因である股関節伸展ROM制限の制限因子をとらえてアプローチする必要があります。

この記事の前半は股関節伸展ROMの制限因子について書いており、後半でROM制限による腰痛について書いています。

股関節伸展のROMの測定

股関節伸展

参考可動域15°
基本軸体幹と平行な線
移動軸大腿骨
(大転子と大腿骨外側顆を結ぶ線)

最終的な制限因子は腸骨大腿靭帯恥骨大腿靭帯、一部の坐骨大腿靭帯の伸張であり、エンドフィールは硬いバネのような感覚(関節包伸張性)です。

股関節の伸展を骨盤の前傾で代償しないように骨盤の固定はしっかりと行います。

股関節伸展ROMの筋性の制限因子

股関節伸展の制限する股関節の屈曲筋は

  • 腸腰筋(股外旋)
  • 縫工筋(股外転、外旋、膝屈曲)
  • 大腿筋膜張筋(股外転、内旋)
  • 大腿直筋(膝伸展)
  • 長内転筋(股内転)
  • 恥骨筋(股内転)
  • 短内転筋(股内転)
  • 薄筋(股内転、膝屈曲)

があります。
( )内は股関節屈曲の他にもっている作用です。

股関節伸展と同時に各屈曲筋をストレッチする方向の運動を加えると、どの筋による制限が大きいか判断する材料になります

たとえば、股関節伸展と同時に股関節の内転を加えてROM制限が生じれば縫工筋か大腿筋膜張筋が制限因子の候補として挙がります。
さらに股関節外旋を加えてROM制限が大きくなれば大腿筋膜張筋による制限の影響が大きいと判断できます。

股関節伸展ROM制限による腰痛

股関節伸展ROM制限は腰痛の一因になります。

股関節の伸展ROM制限により、立位や歩行の立脚期で骨盤が前傾します。
このままでは骨盤につられて体幹も前傾位になってしまうので、体幹を中間位に戻すために腰椎が過前弯します。
立位 腰椎前弯腰椎を過前弯させるために、胸最長筋や多裂筋などの腰背部の筋が過剰に働きます。
これにより、筋性の腰背部痛が生じます。

筋の圧迫や収縮、伸張によって筋内圧を上昇させると疼痛が生じるのが特徴です。

また、腰椎が過前弯していると椎間関節の圧縮ストレスが大きくなります。
これによって、椎間関節に疼痛が生じます。

他動的な腰椎の前弯でも疼痛が生じ、腰椎の後弯で症状が改善するのが特徴です。
体幹の回旋時には対側の椎間関節が、側屈時には同側の椎間関節が圧縮されるので体幹の回旋や側屈時にも疼痛が増強する場合があります。

腰椎の前弯だけでなく、仙骨の過剰な後屈も起こることがあります。
仙骨が後屈すると仙腸関節の圧縮力が低下し仙腸関節が不安定になり疼痛が生じます。

仙腸関節の整形外科テストで疼痛の有無を確認します。
逆に、仙腸関節を圧縮して安定させると疼痛が軽減します。
コルセットやベルトの使用、徒手での圧縮、または筋(広背筋、大殿筋、脊柱起立筋、内腹斜筋、腹横筋)の収縮によって仙腸関節を安定させることができます。
しかし、圧縮方向がずれている(たとえば関節面の前方に圧縮力が集中し、関節面の後方に離開力が働く)と仙腸関節周囲の靭帯が伸張されて疼痛が生じる場合があるので注意が必要です。

参考文献

  • D. A.Neumann(2012)『カラー版 筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版』嶋田智明・他訳, 医歯薬出版.
  • 市橋則明(2016)『理学療法評価学 障害別・関節別評価のポイントと実際』文光堂.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。