歩行観察と歩行分析のコツ:part3【LRの関節運動と筋活動を知る】

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前回は歩行観察と歩行分析のコツ:part2として、ICの関節運動と筋活動を紹介しました。

 

歩行観察と歩行分析のコツ:part2はコチラです。

歩行観察と歩行分析のコツ:part2【ICの関節運動と筋活動を知る】

2020年1月30日

 

今回は歩行観察と歩行分析のコツ:part3として荷重応答期(loding renponse:以下LR)の関節運動や筋活動について紹介します。

これらを知ることでLRで評価すべき身体機能がわかります。

 

荷重応答期(loading renponse)の定義と役割

おさらいです。

 

LRは足部が接地した瞬間~反対側の足部が離地する瞬間と定義されており、歩行周期の0~10%です。

役割は衝撃吸収立脚期の安定前方推進力のキープです。

 

このときの反対側下肢の相は遊脚前期です。

 

イッコロ
LRは高さ1㎝から自由落下してきたICの衝撃を吸収し、体重の60%という荷重を0.02秒の短時間で受けとらなくてはなりません。

これを可能にするのは最初のロッカーファンクションであるヒールロッカーです。

ヒールロッカーは衝撃吸収だけでなく、前方推進に大きく影響するため要チェックです。

 

LRの関節運動

LRが機能するために起きている関節運動は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…伸展25°から屈曲伸展0°へ
  • 距骨下関節…回外回内0°から回内5°へ
  • 足関節…背屈底屈0°から底屈5へ
  • 膝関節…屈曲5°から屈曲15°へ
  • 股関節…ICに引き続いて屈曲20°、内旋3°から内旋5°へ
  • 骨盤…ICに引き続いて前方回旋5°

 

距骨下関節が5°回内しているというのがポイントです。

 

距骨下関節の回内による運動連鎖で横足根関節がゆるむことで足部は柔軟に衝撃を吸収することができます。

また、距骨下関節の回内が下腿を内旋させ膝関節が屈曲しやすくなるため、膝関節での衝撃吸収が可能になります。

 

イッコロ
きちんと踵接地ができていても、距骨下関節が回外(足部内反)していればヒールロッカーが上手く機能しません。

 

LRで発生する外部モーメント

LRでは各関節に以下のとおりの外部モーメントが働きます。

  • 距骨下関節…回内方向の外部モーメント
  • 足関節…底屈方向の外部モーメント
  • 膝関節…屈曲方向と内転方向の外部モーメント、下腿の内旋方向の外部モーメント
  • 股関節…屈曲方向と内転方向と内旋方向の外部モーメント

 

LRの筋活動

LRで適切な関節肢位をとるためと、外部モーメントに対応するために活動している筋は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…長指伸筋、長母指伸筋
  • 距骨下関節…後脛骨筋、前脛骨筋
  • 足関節…前脛骨筋、腓腹筋(後半のみ)、ヒラメ筋(後半のみ)
  • 膝関節…大腿直筋以外の大腿四頭筋、薄筋(前半のみ)
  • 股関節…大殿筋、大内転筋(前半のみ)、ハムストリングス、大腿筋膜張筋、中殿筋、小殿筋

 

これらの筋のうち、全歩行周期において以下の筋がLRで最大に活動します。

  • 前脛骨筋
  • 大腿四頭筋
  • 大殿筋
  • 大内転筋
  • 大腿筋膜張筋
  • 中殿筋
  • 小殿筋

 

前脛骨筋の活動が乏しいと距骨下関節の回内、足関節の底屈が制御できないため衝撃吸収と前方推進力が低下します。

 

大腿四頭筋の活動が乏しければ膝関節の屈曲を制御できないため、膝折れが生じます。

もしくは膝折れを避けるために代償として膝関節が過伸展します。

 

大殿筋と大内転筋の活動が乏しければ股関節の屈曲を制御できないことにより、体幹が前方に動揺します。

 

股関節外転筋群の活動が不十分なら股関節の内転を制御できないため、歩行が左右に不安定となります。

 

まとめ

LRが衝撃吸収、立脚期の安定、前方推進力のキープという役割を果たすために必要な関節運動と筋活動について紹介しました。

 

LRは脳卒中片麻痺の歩行で問題になることが多いです。

しっかりと復習しておきましょう。

 

次回はMStについて書いていきます。

 

参考文献

  • Kirsten G¨otz‐Neumann(2005)『観察による歩行分析』月城慶一・他訳, 医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。