歩行観察と歩行分析のコツ:part4【MStの関節運動と筋活動を知る】

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前回は歩行観察と歩行分析のコツ:part3として、LRの関節運動と筋活動を紹介しました。

 

歩行観察と歩行分析のコツ:part3はコチラです。

歩行観察と歩行分析のコツ:part3【LRの関節運動と筋活動を知る】

2020年1月31日

 

今回は歩行観察と歩行分析のコツ:part4として立脚中期(mid stance:以下MSt)の関節運動や筋活動について紹介します。

これらを知ることでMstで評価すべき身体機能がわかります。

 

立脚中期(mid stance)の定義と役割

おさらいです。

 

MStは反対側の足部が離地した瞬間~観察肢の踵が離地した瞬間と定義されており、歩行周期の10~30%です。

役割は足を支点として前足部上まで身体を運ぶこと立脚期の安定です。

 

このときの反対側下肢の相は遊脚初期~遊脚中期です。

 

イッコロ
MStの役割は立脚期の安定に目がいきがちですが、前足部上まで身体を運ぶこともかなり重要です。

身体を前足部まで運んで重心を高く保つということは歩行のエネルギー効率の向上に大きく影響するからです。

 

MStの関節運動

MStが機能するために起きている関節運動は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…LRと変化なし *屈曲伸展0°
  • 距骨下関節…回内5°から減少 *次のTStで回内2°まで減少
  • 足関節…底屈5から背屈5°へ
  • 膝関節…屈曲15°から屈曲5°へ
  • 股関節…屈曲20°、内旋5°(骨盤前方回旋5°)から屈曲伸展0°、外転内転0°から内転5°へ、内旋5°から2°へ
  • 骨盤…前方回旋5°から前方後方回旋0°へ

 

MStで発生する外部モーメント

MStでは各関節に以下のとおりの外部モーメントが働きます。

  • 距骨下関節…回内方向の外部モーメント
  • 足関節…背屈方向の外部モーメント
  • 膝関節…伸展方向と内転方向の外部モーメント
  • 股関節…前半では屈曲方向、後半では伸展方向の外部モーメント。内転方向の外部モーメントは維持

 

ポイントは床反力が膝関節の後方を通り、膝関節伸展方向の外部モーメントが働いていることです。

イッコロ
膝関節は外部モーメントによって受動的に伸展するため、MSt前半の初速を生み出す時期以外は膝関節伸展においては筋活動は不要です。

 

MStの筋活動

MStで適切な関節肢位をとるためと、外部モーメントに対応するために活動している筋は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…長指屈筋、長母指屈筋(後半のみ)
  • 距骨下関節…後脛骨筋、長腓骨筋、短腓骨筋(後半のみ)
  • 足関節…ヒラメ筋、腓腹筋
  • 膝関節…大腿四頭筋(前半のみ)
  • 股関節…大殿筋(前半のみ)、半膜様筋(前半のみ)、半腱様筋(前半のみ)、大腿筋膜張筋、中殿筋、小殿筋

 

これだけの筋が働きますが、MStで最大活動を示す筋はありません。

 

前足部上に身体が運ばれるに伴い、足趾屈筋群と足関節底屈筋群の活動が高まります。

 

大腿四頭筋は意外にも前半相でしか活動しません。

膝関節の後方を通る床反力と反対側の遊脚肢の勢いが膝関節を受動的に伸展させるためです。

イッコロ
MStでの膝折れは大腿四頭筋の筋力低下というよりは床反力が膝関節の前方を通っていたり、足関節の底屈筋の筋力低下による過背屈が原因と考えられます。

 

股関節でも同様に伸展筋群は前半相でしか活動しません。

MSt前半では屈曲方向の外部モーメントが生じていますが、後半では伸展方向の外部モーメントに切り替わるためです。

 

まとめ

MStが足を支点として前足部上まで身体を運ぶこと、立脚期の安定という役割を果たすために必要な関節運動と筋活動について紹介しました。

 

MStで身体を前足部上まで運べるか否かは歩行のエネルギー効率に大きく影響します。

歩行で下肢の疲労が強い場合はチェックしてみましょう。

 

次回はTStについて書いていきます。

 

参考文献

  • Kirsten G¨otz‐Neumann(2005)『観察による歩行分析』月城慶一・他訳, 医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。