歩行観察と歩行分析のコツ:part5【TStの関節運動と筋活動を知る】

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前回は歩行観察と歩行分析のコツ:part4として、MStの関節運動と筋活動を紹介しました。

 

歩行観察と歩行分析のコツ:part4はコチラです。

歩行観察と歩行分析のコツ:part4【MStの関節運動と筋活動を知る】

2020年2月1日

 

今回は歩行観察と歩行分析のコツ:part5として立脚後期(terminal stance:以下TSt)の関節運動や筋活動について紹介します。

これらを知ることでTStで評価すべき身体機能がわかります。

 

立脚後期(terminal stance)の定義と役割

おさらいです。

 

TStは観察肢の踵が離地した瞬間~反対側の足部が接地する瞬間と定義されており、歩行周期の30~50%です。

役割は身体を支持脚より前方へ運ぶことです。

 

このときの反対側下肢の相は遊脚終期です。

 

TStの関節運動

TStが機能するために起きている関節運動は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…屈曲伸展0°から伸展30°へ
  • 距骨下関節…回内5°から回内2°へ
  • 足関節…背屈5°から背屈10°へ
  • 膝関節…MStからの屈曲5°を維持
  • 股関節…屈曲伸展0°から伸展20°へ、内転はMStに引き続いて5°を維持、内旋2°から内旋1°へ
  • 骨盤…前方後方回旋0°から後方回旋5°へ

 

距骨下関節の回外によって足部の剛性が高まることで中節指節間関節を支点としたフォアフットロッカーが機能します。

フォアフットロッカーはPSwで下肢を前方に動かすためにとても重要です。

 

イッコロ
勘違いしがちなのは足関節の角度です。

足関節の底屈ではなく、TStの足関節は背屈位です。

 

TStで発生する外部モーメント

TStでは各関節に以下のとおりの外部モーメントが働きます。

  • 距骨下関節…回内方向の外部モーメント
  • 足関節…背屈方向の外部モーメント
  • 膝関節…伸展方向の外部モーメント
  • 股関節…伸展方向のモーメント、内転方向の外部モーメントは急速に減少

 

イッコロ
意外にも、膝関節には屈曲ではなく伸展方向の外部モーメントが働いています。

 

TStの筋活動

TStで適切な関節肢位をとるためと、外部モーメントに対応するために活動している筋は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…長指屈筋、長母指屈筋
  • 距骨下関節…後脛骨筋、長腓骨筋、短腓骨筋
  • 足関節…ヒラメ筋、腓腹筋
  • 膝関節…大腿二頭筋短頭(少数例)
  • 股関節…大腿筋膜張筋

 

TStで最大活動を示す筋は以下です。

  • 長指屈筋
  • 長母指屈筋
  • 後脛骨筋
  • 長腓骨筋
  • 短腓骨筋
  • ヒラメ筋
  • 腓腹筋
  • 大腿二頭筋短頭

 

とくに、ヒラメ筋と腓腹筋はMStの3倍も活動して足関節を動的に安定させます。

これにより、膝関節と股関節は受動的に伸展することができます。

 

TStではフォアフットロッカーと膝関節と股関節の受動的な伸展によって身体を支持脚より前方に運び、自由落下させて前方への推進力を得ることができます。

イッコロ
地面を蹴っているのではなくて、自由落下して前方推進力を作っているというのがポイントです。

いちいち地面を蹴っていてはすぐに疲れてしまいます。

TStで自由落下してエネルギー効率よく前に進むには、MStで重心位置をしっかりと高くできていることが大切です。

 

まとめ

TStが身体を支持脚より前方へ運ぶという役割を果たすために必要な関節運動と筋活動について紹介しました。

 

TStでフォアフットロッカーが機能するかどうかは以降のPSwと遊脚期を成立させられるかに深く関わります。
遊脚期に問題があるケースにおいて、TStはチェックすべき必須の歩行相です。

 

次回はPSwについて書いていきます。

 

参考文献

  • Kirsten G¨otz‐Neumann(2005)『観察による歩行分析』月城慶一・他訳, 医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。