歩行観察と歩行分析のコツ:part6【PSwの関節運動と筋活動を知る】

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前回は歩行観察と歩行分析のコツ:part5として、TStの関節運動と筋活動を紹介しました。

 

歩行観察と歩行分析のコツ:part5はコチラです。

歩行観察と歩行分析のコツ:part5【TStの関節運動と筋活動を知る】

2020年2月2日

 

今回は歩行観察と歩行分析のコツ:part6として前遊脚期(pre swing:以下PSw)の関節運動や筋活動について紹介します。

これらを知ることでPSwで評価すべき身体機能がわかります。

 

遊脚前期(pre swing)の定義と役割

おさらいです。

 

PSwは反対側の足部が接地した瞬間~観察肢の足尖が離地した瞬間と定義されており、歩行周期の50~60%です。

役割は遊脚初期(ISw)の準備です。

 

このときの反対側下肢の相はIC~LRです。

 

PSwの関節運動

PSwが機能するために起きている関節運動は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…伸展30°から伸展60°へ
  • 距骨下関節…回内2°から回外回内0°へ
  • 足関節…背屈10°から底屈15°へ
  • 膝関節…屈曲5°から屈曲40°へ
  • 股関節…伸展20°から伸展10°へ、内旋1°から外旋8°へ
  • 骨盤…TStに引き続いて後方回旋5°

 

イッコロ
反対側下肢がIC~LRとなり荷重が移ることで、PSw(観察下肢)の荷重は減少します。

荷重が減少した状態で足関節が底屈すること、膝関節が屈曲することによって膝関節は受動的に屈曲します。

これを二重振り子運動といいます。

遊脚期で膝関節の屈曲が不十分な場合はPSwで二重振り子運動がうまく生じているかを確認しましょう。

 

PSwで発生する外部モーメント

PSwでは各関節に以下のとおりの外部モーメントが働きます。

  • 距骨下関節…回外回内方向の外部モーメントなし
  • 足関節…背屈方向の外部モーメント
  • 膝関節…屈曲方向の外部モーメント
  • 股関節…伸展方向のモーメント、外転方向のモーメント

 

PSwの筋活動

PSwで適切な関節肢位をとるためと、外部モーメントに対応するために活動している筋は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…前半は長母指屈筋と長指屈筋の残存的活動のみ、後半に長指伸筋と長母指伸筋が活動
  • 距骨下関節…前半は短腓骨筋の残存的活動のみ
  • 足関節…前半はヒラメ筋の残存的活動のみ、後半に前脛骨筋が活動
  • 膝関節…前半に膝窩筋、後半に大腿直筋と縫工筋も活動
  • 股関節…長内転筋と薄筋のわずかな活動

 

イッコロ
特徴的なのは長母指屈筋、長指屈筋、短腓骨筋、ヒラメ筋の筋活動はTStからの残存的な活動であるところです。

つまり、積極的に筋を活動させて床をプッシュしているわけではありません。

勘違いしやすいので要注意です。

 

 

TStで最大活動を示す筋は以下です。

  • 膝窩筋
  • 大腿直筋

 

しかし、どちらも活動として小さく膝窩筋は徒手筋力テストの25%、大腿直筋は10%しか活動しません。

イッコロ
歩行中においては最大活動ではあるけれど、発揮筋力としては小さく、あくまで補助的な働きということですね。

 

まとめ

PSwが遊脚への準備という役割を果たすために必要な関節運動と筋活動について紹介しました。

 

PSwでは二重振り子運動が生じ、次のISwでのトゥクリアランスに寄与します。

注目されることが少ないPSwですが、大切な役割を担っています。

 

次回はISwについて書いていきます。

 

参考文献

  • Kirsten G¨otz‐Neumann(2005)『観察による歩行分析』月城慶一・他訳, 医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。