歩行観察と歩行分析のコツ:part8【MSwの関節運動と筋活動を知る】

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前回は歩行観察と歩行分析のコツ:part7として、ISwの関節運動と筋活動を紹介しました。

 

歩行観察と歩行分析のコツ:part7はコチラです。

歩行観察と歩行分析のコツ:part7【ISwの関節運動と筋活動を知る】

2020年2月4日

 

今回は歩行観察と歩行分析のコツ:part8として遊脚中期(mid swing:以下MSw)の関節運動や筋活動について紹介します。

これらを知ることでMSwで評価すべき身体機能がわかります。

 

遊脚中期(mid swing)の定義と役割

おさらいです。

 

MSwは両側の下腿が矢状面で交差した瞬間~遊脚中の観察肢の下腿が床に対して直角になった瞬間と定義されており、歩行周期の75~90%です。

役割は下肢を前方に運ぶこと十分なクリアランスの確保です。

 

このときの反対側下肢の相はMStです。

 

MSwの関節運動

MSwが機能するために起きている関節運動は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…ISwに引き続いて屈曲伸展0°
  • 距骨下関節…ISwに引き続いて回外回内0°
  • 足関節…底屈5°から背屈底屈0°へ
  • 膝関節…屈曲60°から屈曲25°へ
  • 股関節…屈曲15°から屈曲25°へ、外旋内旋0から内旋3°へ
  • 骨盤…前方後方回旋0°

 

これらの関節運動によって、約1cmの床と足のクリアランスを作ることができます。

イッコロ
たった1cmのクリアランスでつまつかずに歩行することができるんですね。

しかし、たった1cmの段差でも転倒のリスクになると考えることもできます。

 

MSwで発生する外部モーメント

MSwでは各関節に以下のとおりの外部モーメントが働きます。

  • 距骨下関節…回外回内方向の外部モーメントなし
  • 足関節…底屈方向の外部モーメント
  • 膝関節…伸展方向の外部モーメント
  • 股関節…屈曲方向の外部モーメント

 

膝関節の伸展方向と股関節の屈曲方向の外部モーメントは下腿の前方への勢いによって生じています。

 

MSwの筋活動

MSwで適切な関節肢位をとるためと、外部モーメントに対応するために活動している筋は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…長指伸筋と長母指伸筋が活動
  • 距骨下関節…筋活動なし
  • 足関節…前脛骨筋が活動
  • 膝関節…後半でハムストリングスが活動
  • 股関節…薄筋が活動

 

ハムストリングスはMStの後半で膝関節の伸展にブレーキをかけるために働きます。

薄筋は活動していますが、活動はほんのわずかです。

 

イッコロ
遊脚に股関節屈曲筋の活動が不要なのはMSw以降のことです。

遊脚期すべてにおいて不要ではないことに注意しましょう。

 

まとめ

MSwが下肢を前方に運ぶこと、十分なクリアランスの確保という役割を果たすために必要な関節運動と筋活動について紹介しました。

 

MSwの膝関節と股関節の関節運動は受動的であり、それは下腿の前方への勢いによって生み出されています。

イッコロ
MSwで床と足のクリアランスを保つためにはPSw~ISwで下腿の前方への勢いを作れるかどうかが重要ということですね。

 

次回はTSwについて書いていきます。

 

参考文献

  • Kirsten G¨otz‐Neumann(2005)『観察による歩行分析』月城慶一・他訳, 医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。