歩行観察と歩行分析のコツ:part9【TSwの関節運動と筋活動を知る】

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前回は歩行観察と歩行分析のコツ:part8として、MSwの関節運動と筋活動を紹介しました。

歩行観察と歩行分析のコツ:part8はコチラです。

歩行観察と歩行分析のコツ:part8【MSwの関節運動と筋活動を知る】

2020年2月7日

今回は歩行観察と歩行分析のコツ:part9として遊脚終期(terminal swing:以下TSw)の関節運動や筋活動について紹介します。

これらを知ることでTSwで評価すべき身体機能がわかります。

 

遊脚終期(terminal swing)の定義と役割

おさらいです。

 

TSwは遊脚中の観察肢の下腿が床に対して直角になった瞬間~観察肢の足部が接地した瞬間と定義されており、歩行周期の90~100%です。

役割は下肢を前方へ運ぶことの終了ICの準備です。

 

このときの反対側下肢の相はTStです。

 

TSwの関節運動

TSwが機能するために起きている関節運動は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…屈曲伸展0°から伸展0~25°へ
  • 距骨下関節…MSwに引き続いて回外回内0°
  • 足関節…MSwに引き続いて背屈底屈0°
  • 膝関節…屈曲25~屈曲0(~5)°へ
  • 股関節…屈曲25°から屈曲20°へ、MSwに引き続いて内旋3°
  • 骨盤…前方後方回旋0°から前方回旋5°へ

 

骨盤の前方回旋は歩幅を大きくすることに寄与しています。

 

TSwで発生する外部モーメント

TSwでは各関節に以下のとおりの外部モーメントが働きます。

  • 距骨下関節…回外回内方向の外部モーメントなし
  • 足関節…外部モーメントなし
  • 膝関節…伸展方向の外部モーメント
  • 股関節…屈曲方向の外部モーメント

 

TSwの筋活動

TSwで適切な関節肢位をとるためと、外部モーメントに対応するために活動している筋は以下のとおりです。

  • 中足指節間関節…長指伸筋と長母指伸筋が活動
  • 距骨下関節…筋活動なし
  • 足関節…前脛骨筋が活動
  • 膝関節…大腿四頭筋が活動
  • 股関節…薄筋、ハムストリングス、大内転筋、大殿筋、大腿筋膜張筋、中殿筋が活動

 

大腿四頭筋は膝関節を最大に伸展するために働きます。

 

最大に活動する筋はハムストリングスです。

 

ハムストリングスは前方に推進している大腿にブレーキをかけるために働きます。

また、大腿四頭筋と同時収縮して膝関節の安定化にも寄与しています。

 

股関節では遊脚期にも関わらず、多くの筋が活動します。

これはICでかかる衝撃に備えるためです。

イッコロ
トレンデレンブルグ徴候など立脚期で股関節の支持性が低下している場合、TSwで股関節周囲筋の活動が不十分となっている可能性も考えられます。

 

まとめ

TSwが下肢を前方へ運ぶことの終了、ICの準備という役割を果たすために必要な関節運動と筋活動について紹介しました。

 

TSwの股関節では意外とたくさんの筋が活動しています。

イッコロ
ICが不安定であるなら、TSwで適切に筋が活動しているかも分析のポイントとなるかもしれません。

 

今回で全9回の歩行観察と歩行分析のコツのシリーズは終了です。

シリーズのpart1はこちらです。

歩行観察と歩行分析のコツ:part1【各相の役割と注目すべき相をみつける方法】

2020年1月29日

 

参考文献

  • Kirsten G¨otz‐Neumann(2005)『観察による歩行分析』月城慶一・他訳, 医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。