下肢装具の適合をきちんとチェックしていますか?
対象者が所有している個人の装具であれば正しい適合で作成されているため、装着のたびに適合をチェックすることは少ないです。
しかし、施設の備品の場合、ほかの対象者もその装具を使用しており、ほかの対象者が使用するたびに装具の設定は変更されています。
そのため、備品の装具は装着のたびに適合のチェックが必須です。
この記事では下肢装具の適合をみるときのチェックポイントを復習できます。
下肢装具の適合をみるときのチェックポイント
装具の装着は臥位や座位で行いますが、最終的な適合のチェックは立位で行います。
荷重することによって身体と装具の位置関係や圧迫の程度が変化するためです。
立位では次のポイントをチェックします。
- 大腿上位半月…半月の上縁が外側においては大転子の2~3㎝下、内側においては会陰部の2~3㎝下にきているか
- 下腿半月…半月の上縁が腓骨頭から2~3㎝下にきているか
- 股関節継ぎ手軸…転子の上前方2cmの位置に設定します。
- 膝関節継ぎ手軸…前額面においては大内転筋結節と膝関節内側裂隙の中間部、矢状面においては大腿骨顆部の前後径1/2と後方1/3の中間部を通っているか
- 足関節継ぎ手軸…外果中央部と内果下端部を通っているか
- 足部…5~15°外転をとっている
さらに
- 金属支柱付きの装具の場合、支柱や継ぎ手が身体に触れていないか
- 皮膚がカフベルトに挟み込まれていないか
- 踵が装具にしっかりとフィットしているか
- 踵骨、舟状骨、第5中足骨基底部、第1中足骨と第5中足骨のMTP関節部などの骨突出部が強く当たっていいないか
- 装具内で足底が全面接地できているか
などをチェックします。
装着直後は正しく適合していても動作すると適合がずれることがあるので動作後も上記のポイントをチェックします。
とくに動作によって筋緊張が亢進して足部が内反して足底の全面接地ができていないことがあるので要チェックです。
まとめ
骨突出部の圧迫がないことはもちろんですが、継ぎ手軸の位置も大切です。
継ぎ手軸がずれている状態で歩行をすると異常な関節運動を起こして疼痛の原因になる可能性があるからです。
また、動作によって筋緊張が亢進して装具内で足部が内反することもあります。
装具の適合をきちんとチェックして安全に装具を使用しましょう。
文献
- 阿部浩明・ほか編(2016)『脳卒中片麻痺者に対する歩行リハビリテーション』メジカルビュー.