膝関節伸展ROMの制限因子と鑑別方法~脛骨大腿関節~

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今回は膝関節伸展における脛骨大腿関節の運動を阻害する組織をみていきます。

表層の組織から評価をすると制限因子を判断しやすいです。
まずは組織の伸張性を評価し、次に滑走性を確認しています。

僕が評価している順番で項目を書いてみました。

関節運動編はこちら

www.iccolo.work

 

膝蓋大腿関節編はこちら

www.iccolo.work

 

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膝関節伸展時の脛骨前方転がりと滑りの制限因子

主に膝蓋大腿関節の後面にある組織が制限因子になります。

ハムストリングスの伸張性低下(短縮あるいは過剰収縮)

ハムストリングスは膝関節を屈曲する(脛骨後方転がりと滑り)作用があります。
なので、ハムストリングスが短縮あるいは過剰収縮していると伸張性が低下し、膝関節伸展を妨げます。

股関節屈曲位で膝関節伸展ROMが低下するならハムストリングスの伸張性低下が制限因子の可能性があります。

ハムストリングスの内側(半腱様筋と半膜様筋)、外側(大腿二頭筋)のどちらの影響が大きいかを鑑別したい場合は股関節の回旋を組み合わせます。

股関節外旋位でROM制限がより低下するなら内側ハムストリングス、内旋位なら外側ハムストリングスの影響が大きいと考えられます。

腓腹筋の伸張性低下

腓腹筋は膝関節を屈曲、足関節を底屈します。
足関節背屈位で膝関節伸展ROMが低下すると腓腹筋の伸張性低下が制限因子として考えられます。


膝窩筋の伸張性低下

患者さんが訴える伸張感の部位と触診、圧痛で判断します。
深層の筋なので触診しにくいですが注意深く行えば触診できます。

触診方法については「運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹」という本がおススメです。

膝窩靭帯や後方関節包の伸張性の低下

上記の筋の影響ではなさそうなら、その他の膝関節後面の組織(靭帯や関節包など)による制限を疑います。

膝蓋下脂肪体の柔軟性低下

見落としがちなのが膝関節前面にある膝蓋下脂肪体による制限です。

膝蓋下脂肪体は膝関節伸展に伴って前方に移動します。
これには脛骨大腿関節面の変化に合わせ形状を変化できる柔軟性が必要です。
柔軟性が乏しいと膝蓋下脂肪体でつっかえて関節運動が妨げられます。

柔軟性は触診で確認します。
上方への引き出せるか、左右に移動できるかをチェックします。

設備があるなら超音波で評価するのが理想的です。
僕は技術的にも職場の環境的にも難しくてしたことがありませんが…

腸脛靭帯の伸張性の低下

腸脛靭帯は股関節の内転によって伸張されます。
後方部は膝関節の伸展(屈曲90°以下)によっても伸張されます。

なので、股関節内転位で膝関節伸展ROM(屈曲90°以下の範囲)が制限されると腸脛靭帯が制限因子であると判断します。

腸脛靭帯は大腿筋膜張筋と大殿筋、中殿筋と繋がっています。
腸脛靭帯が制限因子であると考えられた場合は、これらの筋の伸張性の確認が必要です。

鵞足筋(縫工筋、半腱様筋、薄筋)の伸張性低下

鵞足筋は膝関節屈曲の作用があります。

  • 股関節伸展+内転位で膝関節伸展ROM制限が大きくなれば縫工筋
  • 股関節屈曲位なら半腱様筋
  • 股関節屈曲+外転位なら薄筋

の影響が大きいと判断できます。

外・内側副靭帯の伸張性低下

側副靭帯は膝関節伸展で緊張し、屈曲で弛緩します。
触診で膝関節伸展に伴う側副靭帯の緊張が過剰でないか確認します。

 

後十字靭帯の弛緩、断裂

後十字靭帯は脛骨の後方移動を制動する役割があります。
なので、弛緩や断裂があると脛骨が後方に偏位し脛骨の前方への転がりや滑りが起きにくくなります。

後十字靭帯の機能は後方引き出しテストで確認します。

膝関節伸展時の脛骨外旋の制限因子

スクリューホームムーブメントは

  • 大腿骨内側顆の形状
  • 前十字靭帯の緊張
  • 大腿四頭筋の外側への牽引

によって生じます。

これらの構造や機能の破錠、周辺組織の伸張性や滑走性の低下によってスクリューホームムーブメントが阻害されます。 

大腿骨内側顆の変形

レントゲンなどの画像所見で確認します。

前十字靭帯の弛緩、断裂

前十字靭帯は緊張によって脛骨を外旋方向に誘導する(内旋を制動)する作用があります。
なので、徒手的な脛骨外旋の低下には関与しないのが特徴です。

ラックマンテストや前方引き出しテストで陽性だと前十字靭帯の弛緩や断裂があります。

大腿四頭筋の外側への牽引

自動運動の場合、大腿四頭筋の収縮が脛骨外旋に影響します。

膝関節最終伸展域の大腿四頭筋筋力を確認します。
外側広筋は収縮時に後方に滑走するため、他の大腿四頭筋よりも脛骨外旋に関与が大きいと考えられます。

鵞足筋(縫工筋、半腱様筋、薄筋)の伸張性低下

鵞足筋は脛骨内旋の作用があります。

  • 股関節伸展+内転位で脛骨外旋制限が大きくなれば縫工筋
  • 股関節屈曲位なら半腱様筋
  • 股関節屈曲+外転位なら薄筋

の影響が大きいと判断できます。

膝窩筋の伸張性低下

膝窩筋は脛骨内旋の作用があります。
膝関節伸展+脛骨外旋時の触診で緊張を確認します。

 

腸脛靭帯の滑走性低下

脛骨外旋に伴って腸脛靭帯は後方に滑走する必要があります。
触診で後方への滑走性を確認します。
 

外・内側側副靭帯の滑走性低下

外側側副靭帯は後方に、内側側副靭帯は前方に滑走する必要があります。
触診でそれぞれの方向への滑走性を確認します。

膝窩靭帯や後方関節包の伸張性低下

とくに、斜膝窩靭帯は大腿骨の後外側から脛骨の後内側に付着しているので脛骨外旋の制限に関与が高いと考えられます。

まとめ

  • 脛骨の前方への転がりと滑りは主に膝蓋大腿関節の後面にある組織が制限因子になる。
  • スクリューホームムーブメントは大腿骨内側顆の形状や前十字靭帯の緊張、大腿四頭筋の外側への牽引の破錠、周辺組織の伸張性や滑走性低下によって阻害される。
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こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。