股関節における解剖学のポイント

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大腿骨近位部骨折、人工股関節全置換術後などは臨床で頻繁に遭遇する疾患です。

また、股関節に直接の疾患がなくても股関節は下肢と体幹をつなぐ関節であり、下肢症状を改善するためにアプローチすることは多いです。

 

そんな大切な股関節ですが、計測する角度や筋、神経が多くて解剖学を覚えるのってなかなか大変ですよね。

 

この記事は股関節における解剖学のポイントを紹介しています。

この記事を読むと解剖学から理学療法を考えられるようになり、理学療法の幅がきっと広くなります。

 

股関節を構成する骨

股関節は寛骨と大腿骨によって構成されており、関節面は寛骨臼と大腿骨頭となっています。

それでは、寛骨臼と大腿骨頭の特徴を見ていきます。

 

寛骨臼

寛骨臼の解剖のポイントはCE角(Center-Edge角)と、前傾角(前捻角)があります。

 

CE角と前捻角は大腿骨頭の被覆率を反映しています。

 

CE角から分かること

前額面で計測します。

 

  • 大腿骨頭中心を通る垂線
  • 大腿骨頭中心-寛骨臼上縁を結ぶ線

 

これらで形成される角度を測定します。

正常値は約35°です。

 

前傾角から分かること

水平面で計測します。

 

  • 寛骨臼の前後縁を結んだ線
  • 寛骨臼後縁を通る垂線

 

これらが形成する角度を計測します。

正常値は約20°です。

 

大腿骨頭

大腿骨頭の解剖のポイントは頚体角、前捻角、大腿骨頭の位置です。

 

頚体角から分かること

前額面で計測します。

 

  • 大腿骨頸部の軸
  • 大腿骨骨幹部の軸

 

これらが形成する角度を計測します。

正常値は約125°です。

 

イッコロ
125°以上なら外反股、125°以下なら内反股といいます。

 

外反股や内反股の場合、レバーアームや筋の静止長の関係で筋力発揮に不利となっていることがあります。

 

また、外反股では荷重による関節応力が大きくなり、内反股では大腿骨頸部にかかる剪断力が大きくなることが考えられます。

 

前捻角から分かること

水平面で計測します。

 

 

  • 大腿骨頸部軸
  • 寛骨臼後縁を通る線

 

これらが形成する角度を計測します。

正常値は約15°です。

 

また、前捻角はCraigテストでも計測できます。

この場合、正常値は8~15°です。

 

前捻角は股関節回旋ROMや立位時の股関節肢位に影響します。

 

前捻角が大きい場合、寛骨臼と大腿骨頭を適合すると股関節は見かけ上で内旋するため、股関節外旋ROMは小さくなります。

立位では股関節は見かけ上で内旋位をとります。

 

大腿骨頭の位置を知る

前額面で評価します。

 

おおよそ、大腿骨頭は鼡径靭帯の中1/3の直下に位置しています。

 

股関節の神経

股関節は腰神経叢と仙骨神経叢によって支配されます。

 

腰神経叢は大腿の前面と内側面の筋と感覚を支配しています。

腰神経叢は以下の神経で構成されています。

  • 大腿神経(L2-4)
  • 閉鎖神経(L2-4)

 

仙骨神経叢は大腿の後面と外側、下腿全体の筋と感覚を支配しています。

仙骨神経叢は以下の神経で構成されています。

  • 上殿神経(L4-S1)
  • 下殿神経(L5-S2)
  • 坐骨神経(L4-S3)

 

大腿神経が支配する筋

脊髄レベルはL2-4です。

股関節の屈曲筋と膝関節の伸展筋を支配しています。

 

閉鎖神経が支配する筋

脊髄レベルはL2-4です。

股関節内転筋と外閉鎖筋を支配しています。

 

ただし、恥骨筋は大腿神経に支配され、大内転筋は坐骨神経からも支配されています。

また、内閉鎖筋は仙骨神経叢の支配です。

 

上殿神経が支配する筋

脊髄レベルはL4-S1です。

中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋を支配しています。

大殿筋を支配していないことに注意です。

 

下殿神経が支配する筋

脊髄レベルはL5-S2です。

大殿筋を支配しています。

 

坐骨神経が支配する筋

脊髄レベルはL4-S3です。

ハムストリングスと大内転筋を支配しています。

大内転筋は閉鎖神経からも支配を受けています。

 

股関節外旋筋を支配する神経は?

外閉鎖筋のみ閉鎖神経支配であり、その他の深層外旋六筋は仙骨神経に支配されています。

 

まとめ

股関節における解剖学のポイントをまとめました。

 

寛骨臼と大腿骨頭の各角度は大腿骨頭の被覆率、股関節周囲筋の筋力、股関節のROMに影響します。

股関節周囲には多くの筋がありますが、神経ごとにおおよその支配部位が決まっています。

 

この記事で紹介した股関節における解剖学のポイントを押さえることで理学療法の幅が広がると思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。