【まとめ】胸郭出口症候群の病態・症状と整形外科的テスト

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頸部から鎖骨周囲には腕神経叢という多くの神経と鎖骨下動脈・静脈が通っています。

そのため、同部位では胸郭出口症候群という腕神経叢と鎖骨下動脈・静脈の障害によって上肢の症状が起こることがあります。

 

つまり、上肢の症状は上肢に問題があるのではなく、胸郭出口に問題がある場合があります。

 

この記事では胸郭出口症候群の病態と症状、整形外科的テストについてまとめています。

この記事の内容を把握することで、上肢の症状において一つ広い視野で理学療法評価ができるようになります。

 

胸郭出口症候群の病態と症状

胸郭出口症候群とは斜角筋症候群肋鎖症候群小胸筋症候群の総称です。

胸郭出口部で腕神経叢や鎖骨下動脈・鎖骨下静脈が牽引または圧迫されることで頸部~上肢に感覚障害運動障害疼痛などの症状が生じます。

 

【胸郭出口部】

  • 斜角筋間隙…前・中斜角筋と第1肋骨部の間
  • 肋鎖間隙…鎖骨(鎖骨下筋)と第1肋骨の間
  • 小胸筋下間隙…小胸筋と肋骨の間

 

腕神経叢はC5-T1の神経であり、腋窩神経(C5-T1)、筋皮神経(C5-C7)、橈骨神経(C5-T1)、正中神経(C6-T1)、尺骨神経(C8-T1)に分枝します。

 

胸郭出口症候群は症状を誘発しているメカニカルストレスによって、牽引型、圧迫型、混合型に分類されます。

 

胸郭出口症候群の整形外科的テストなど

胸郭出口症候群にはいくつかの整形外科的テストなどがあります。

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それぞれのテストで感度や特異度の違いなど特徴があるので組み合わせて評価することが大切です。

 

斜角筋三角上部の圧迫

圧痛や放散痛があれば陽性です。

牽引型では感度・特異度ともに高く、圧迫型ではどちらも低いことが特徴です。

 

鎖骨上窩部の圧迫

圧痛や放散痛があれば陽性です。

圧迫型では感度89%、特異度25%、牽引型では感度79%、特異度11%であると言われています。

 

上肢牽引テスト

徒手的に上肢を下方へ牽引して症状が誘発すると陽性です。

感度と特異度が牽引型ではどちらも高く、圧迫型ではどちらも低いことが特徴です。

 

肩甲帯挙上テスト

徒手的に肩甲帯を挙上することで症状が改善すると陽性です。

こちらも感度と特異度が牽引型ではどちらも高く、圧迫型ではどちらも低いことが特徴です。

 

Morleyテスト

上肢下垂位で鎖骨上窩部にて腕神経叢を圧迫し、症状が誘発すれば陽性です。

斜角筋間隙での圧迫型の評価として有用性が高いと言われています。

 

Roosテスト

両肩関節を90°外転外旋・軽度水平伸展位、肘関節を90°屈曲位に保持させ、ゆっくりと手指を自動屈曲伸展させます(3分間)。

肋鎖間隙や小胸筋下間隙での症状を反映するテストです。

 

症状が誘発されたり、疲労や苦痛によりテスト継続が困難であれば陽性です。

テスト中の症状が誘発しているあいだに橈骨動脈の拍動が確認できれば牽引型、できなければ圧迫型と区別する手段となり得ると言われています。

 

偽陽性率が高いことに注意が必要です。

 

Edenテスト

両肩関節軽度伸展位で徒手的に両上肢を後下方へ牽引します。

肋鎖間隙での症状を反映するテストです。

 

橈骨動脈の拍動が減弱・消失すると陽性です。

 

感度が高いことが特徴です。

 

Adsonテスト

上肢下垂位で頸部を伸展・患側へ回旋し、強制吸気の状態で呼吸を止めさせます。

斜角筋間隙での症状を反映するテストです。

 

陽性であれば、症状の誘発や橈骨動脈の拍動が減弱・消失します。

 

感度は低いものの、特異度が高いことが特徴です。

 

まとめ

胸郭出口症候群の病態と症状、整形外科的テストについてまとめました。

 

上肢の症状について胸郭出口の影響を考えることで一つ広い視野で理学療法評価をすることができます。

そして、適切に評価することは主治医の治療方針を理解や理学療法の展開に役立ちます。

 

胸郭出口症候群の治療については次の記事で紹介します。

胸郭出口症候群の治療~アプローチすべき筋~

2020年2月18日

 

参考文献

  • 医療情報科学研究所編(2017)『病気がみえる vol.11 運動器・整形外科 第1版』メディックメディア.
  • 林典雄(2005)『運動療法のための機能解剖学的触診技術-上肢』青木隆明監修,メジカルビュー.
  • D.A.Neumann(2012)『カラー版 筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版』嶋田智明・有馬慶美訳,医歯薬出版.
  • 井形高明・他(2011)『標準整形外科学』内田淳正監修,医学書院.
  • 整形外科リハビリテーション学会編著(2014)『改訂第2版 関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション-上肢・体幹』メジカルビュー.
  • 工藤慎太郎編著(2017)『運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略』医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 大阪府の理学療法士です。 病院で勤務しています。