起立性低血圧症の理学療法とは?

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手術後など長期の臥床によって起立性低血圧症が起こることがあります。
せっかく手術が成功しても理学療法が進まずADLの向上ができない困った症状です。

起立性低血圧症に対して理学療法士ができることはなんでしょうか?

起立性低血圧症の理学療法についてまとめました!

 

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起立性低血圧症とは?

臥位では通常の血圧ですが、起立後(3分以内)に血圧が低下(収縮期血圧が20mmHg以上または拡張期血圧が10mmHg以上の低下)します。

↓の症状がみられます。

  • めまい
  • 動悸
  • 脱力
  • 嘔吐
  • 失神

起立性低血圧症の原因

起立時に下半身の静脈血を心臓へ還流させるには、下半身の筋収縮と静脈の収縮が必要です。
しかし、↓に挙げることが生じていると静脈血を還流させることができません。

  • 圧受容体の異常

    (頸動脈洞や大動脈弓が血圧低下を感知できない)

  • 圧受容体反射系の異常

    (圧受容器→舌咽神経と迷走神経→延髄→交感神経→心臓と血管の異常)

  • 副交感神経(迷走神経)の亢進

これらの異常が起こる危険因子は

  • 中枢神経障害(脳血管障害、頚髄損傷など)
  • 自律神経障害(パーキンソン病、糖尿病など)
  • 心不全、不整脈(血液を十分に駆出できない)
  • 脱水、電解質異常(血液の減少)
  • 動脈硬化(血管が収縮できない)
  • 下半身の筋力低下(筋ポンプ作用の低下)

などがあります。

起立性低下血圧症の治療

危険因子の治療を行います。

方法は食事療法、運動療法、物理療法、薬物療法があります。

食事療法

脱水、電解質異常、動脈硬化の改善を目的として、食事指導が行われます。

運動療法、物理療法

理学療法士が対応できる分野です。
起立性低血圧症の理学療法の項目で解説します。

薬物療法

薬物により危険因子の改善を図ります。

また、降圧薬、抗不整脈薬などの副作用として血圧低下が生じている場合は減量や中止が行われます。

起立性低血圧症の評価

臥位、座位、立位での血圧の変動を確認します。

  • 体位変換後の3分以内
  • 収縮期血圧の20mmHg以上の低下
  • 拡張期血圧の10mmHg以上の低下

があれば起立性低血圧症です。

症状は

  • めまい
  • 動悸
  • 脱力
  • 嘔吐
  • 失神

です。

血圧低下に関するフィジカルアセスメント

  • 自覚症状の有無
  • 生あくび、冷や汗、活気低下(脳血流が低下している)
  • 頚静脈怒張(右心不全)
  • 呼吸困難、せき(左心不全)
  • まぶた、くちびるの皮膚が蒼白(上半身の血液量が低下している)
  • 下腿の皮膚が紅潮(下半身に血流が貯留している)

などがあります。

また、脱水の有無を知るためにイン‐アウトバランス(水分出納)を確認しましょう。

インは身体に入る水分量のことで主に↓があります。
*基準値は成人のものです

  • 飲水(1000~1500ml/日)
  • 食事(約800ml/日)
  • 代謝水(栄養素の分解過程で生じる水 約300ml/日)
  • 輸液量

アウトは身体から出る水分量のことで主に↓があります。

  • 排尿(500~1500ml/日)
  • 排便(約200ml/日)
  • 不感蒸泄(気道や皮膚から蒸散する水*汗は含まない 約900ml/日)
  • ドレーンの排液量
  • 出血量

 

電解質異常は血液データ

  • ナトリウム(Na)
  • カリウム(K)
  • カルシウム(Ca)
  • クロール(Cl)
を確認しましょう。

起立性低血圧症の理学療法

運動療法

起立性低血圧症は心血管系への重力刺激の欠如が主な要因であるため、血圧を確認しながらできるだけ早く離床を行います。

まずはしっかり覚醒させます。
ここで覚醒していないと、自覚症状があるのか判断できないです。

臥位の時点で血圧が低い場合は軽運動で血圧を上昇させてから座位へ進みます。

座位になると下腿に血流が貯留し、血圧が低下しやすいので注意しましょう。
座位に慣れてから立位へ進みます。

立位時は足踏みや踵上げをすると下肢の筋ポンプにより血圧低下を軽減できることがあります。

ティルトテーブルは便利ですが、下肢の筋収縮を必要としないため血圧が低下することがあります。
使用するときは注意しましょう。

心臓への負荷に注意して、下肢の筋力増強訓練も行います。
↓のような方法は心負荷が大きいので注意しましょう。

  • 臥位での訓練
  • 等尺性収縮

 

物理療法

腹帯や弾性包帯を下肢(末梢側から)に巻きます。
こうすることで下半身への血液貯留を防ぎ、血圧低下を軽減することができます。

血圧低下の軽減に合わせて、圧迫の程度を弱くしたり圧迫する面積を中枢側から小さくしていきます。
こうして徐々に腹帯や弾性包帯なしで離床できるようにしていきます。

起立性低血圧症の生活指導

ゆっくりとした起立や歩行前の足踏みを指導します。

アルコールは血管を拡張させ、血圧が低下しやすくなるので控えるように指導します。
カフェインは血管を収縮させ、血圧が上昇しやすくなるので推奨します。

まとめ

起立性低血圧症の原因、治療、理学療法についてまとめました。

以上、「起立性低血圧症の理学療法とは?」という記事でした!

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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。