PTが知っておきたい介護保険のこと

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理学療法の対象者は多くが高齢者です。

そのため、退院に向けてリハビリテーションを提供するうえで介護保険の知識は必須です。

しかし、専門である理学療法の知識を増やすと同時に介護保険のすべてを理解するのは困難です。

 

個人的には、PTに求められる介護保険の知識は介護保険に精通しているケアマネージャーや地域医療相談員などの職種の方々に相談ができる程度あればいいと考えています。

付け焼刃の知識で奮闘するよりも、難しいことは専門職を頼りましょう。

 

今回は、専門職に相談するうえでPTが知っておきたい介護保険のことについてまとめました。

この記事を読んでいただければ、ケアマネージャーや地域医療相談員などの職種の方々に相談ができるようになると思います。

 

他の記事では介護保険のお金についてまとめています。

PTが知っておきたい介護保険のお金

2019年12月25日

 

介護保険とは

介護保険とは介護が必要な人に、介護の費用を給付する保険です。

給付を受けるには40歳から介護保険料を支払う(義務)必要があります。

 

そして、給付を受けられるかの審査をクリアすると、所得に応じて介護費用の7~9割の給付が受けられます。

つまり、自己負担は1~3割です。

 

被保険者

被保険者には1号被保険者と2号被保険者があります。

これらに該当しない場合は、介護保険の給付を受けられません。

 

1号被保険者とは

65歳以上の日常生活に介護や支援が必要な状態の人です。

 

2号被保険者とは

40~64歳の医療保険加入者のうち、加齢に起因する特定疾病により日常生活に介護や支援が必要な状態の人です。

 

【加齢に起因する16の特定疾病】

  1. 筋委縮性側索硬化症
  2. 後縦靭帯骨化症
  3. 骨折をともなう骨粗鬆症
  4. 多系統萎縮症
  5. 初老期における認知症
  6. 脊髄小脳変性症
  7. 糖尿病性神経障害・腎症・網膜症
  8. 早老症
  9. 脳血管障害
  10. 進行性核上性麻痺・大脳基底核変性症およびパーキンソン病
  11. 閉塞性動脈硬化症
  12. 慢性関節リウマチ
  13. 慢性閉塞性肺疾患
  14. 脊柱管狭窄症
  15. 両側の膝または股関節に著しい変形をともなう変形性関節症
  16. 末期がん

 

介護保険を利用するまでの流れ

市区町村の窓口に申請します。

その後、認定調査、一次判定、二次判定を通過して要介護・支援認定がおります。

申請~認定の通知までは原則30日以内です。

 

退院後に介護保険を利用するなら、専門職に相談してサービス調整をする期間を考慮すると遅くても退院の1ヵ月半前には申請しておく必要があります。

介護保険の利用が必要なら早々に専門職に相談しましょう。

 

介護・支援認定の区分

日常生活に介護や支援が必要な程度に応じて、介護・支援認定には区分があります。

この区分により、どんなサービスを利用できるか、いくら給付が受けられるかが異なります。

どんな区分になるかおおよその目安を知っておくと、リハビリテーション計画が立てやすくなります。

 

【要介護・支援の区分】

  • 要支援1…日常生活動作の一部に支援が必要
  • 要支援2…日常生活の一部に支援が必要(要介護状態になる可能性がある)
  • 要介護1…食事や排泄を除く日常生活動作全般に介助が必要
  • 要介護2…起立や移動、食事や排泄が軽介助~監視。認知症のよる理解の低下がある。
  • 要介護3…基本動作が軽~中等度介助。認知症による判断の低下がある。
  • 要介護4…基本動作が中~重度介助。認知症の周辺症状がある。
  • 要介護5…基本動作が全介助。認知症の周辺症状が多い。

 

居宅サービス

居宅サービスは自宅をベースとして利用するサービスです。

専門職が自宅に訪問するサービス、自宅から施設に通所するサービス、短期間だけ施設に入所するサービスなどがあります。

 

居宅サービスは要支援1からが対象になります。

例外として訪問”介護”(ホームヘルプ)と通所”介護”(デイサービス)は要介護1からの利用となります。

 

施設サービス

長期間、施設に入所するサービスです。

公的な施設と民間の施設があります。

 

公的な施設

公的な施設は要介護1からが対象となります。

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例外として、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は要介護3からの利用となります。

 

【公的な施設】

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院

 

民間の施設

公的な施設と比べて費用は高いですが、要介護・支援認定がなくても利用できます

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例外として、グループホームは要支援2からが対象となります。

 

【民間の施設】

  • 有料老人ホーム
  • グループホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅

 

福祉用具貸与

要支援1から利用できます。

しかし、要介護・支援の区分によってレンタルできる福祉用具の種類が異なります。

 

要支援1~要介護1でレンタルできるもの

歩行に必要な福祉用具をレンタルできます。

  • 工事不要の手すり(浴槽を除く)
  • 工事不要のスロープ
  • 歩行器
  • 杖(1本杖は除く)

 

要介護2~3でレンタルできるもの

車椅子関係やベッド関係のものもレンタルできるようになります。

  • 車椅子
  • 車椅子の付属品(クッション、電動補助装置など)
  • 特殊寝台(介護用ベッド、電動ベッド)
  • 特殊寝台の付属品(サイドレール、マットレス、スライディングボードなど)
  • 褥瘡防止用具
  • 体位変換器
  • 認知症老人俳諧感知機器
  • 移動用リフト(入浴用リフト、段差解消機、階段移動用リフト)

 

要介護4~5でレンタルできるもの

自動排泄処理装置もレンタルできるようになります。

尿のみの装置は要支援1からでもレンタル可能です。

 

居宅環境を整えるサービス

要支援1から利用でき、特定の福祉用具の購入や住宅改修に対して費用の7~9割の給付を受けられます。

これらの給付は年額や一生涯で上限額があるため、過去のサービス利用状況を把握する必要があります。

 

支払いは基本的に償還払いです。

一部の市区町村では受領委任払いが利用できますが、償還払いに比べて利用許可がおりるのが遅くなる傾向にあります。

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住宅改修償還払いとは、福祉用具の購入や住宅改修にかかったお金を一旦、全額支払って後日に介護保険からお金を返してもらう制度です。

受領委任払いとは、最初に全額支払う必要はなく、かかるお金のうち介護保険で認められた金額の1~3割のみ支払う制度です。

 

特定の福祉用具の購入

特定の福祉用具とは肌に直に触れるものです。

これらは福祉用具貸与の対象ではないため、年間10万円が給付の上限で、購入価格の7~9割の給付が受けられます。

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ただし、特定の福祉用具であったても都道府県の指定を受けた事業者から購入した場合に限ります。

 

【特定の福祉用具】

  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換部品
  • 入浴や浴槽の椅子
  • 浴槽の手すり
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトの吊り具の部分

 

住宅改修

一生涯で20万円が給付の上限で、そのうちの1~3割が自己負担です。

 

上限額の20万円以内であれば、複数回に分けて支給を受けることも可能です。

また、引っ越した場合や介護度が著しく上がった場合は再支給を受けることができます。

 

まとめ

ケアマネージャーや地域医療相談員などの専門職にPTが知っておきたい介護保険のことについてまとめました。

介護保険の被保険者、利用できるサービスについて大まかに知っておけば、専門職に相談できるのでPTとしてはこの記事に書いたことを把握しておけば良いと思います。

 

次回は、応用編で介護保険サービスに関わるお金のことについて書きます。

これを知っておけば、より退院後の生活を見据えたリハビリテーションを提供できると思います。

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