胸椎・腰椎圧迫骨折の理学療法で知っておくべきこと part2/2 ~評価、運動療法など~

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胸椎・腰椎圧迫骨折の理学療法で知っておきべき評価、運動療法などについてまとめました!

 

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胸椎・腰椎圧迫骨折の理学療法

評価

受傷機転

受傷が大きな外力によるものなのか、軽微な外力によるものなのかを確認します。

尻もちやくしゃみなど軽微な外力であった場合は骨粗鬆症がバックグラウンドにあることが考えられます。
骨粗鬆症があると通常よりも骨折のリスクが高いため、理学療法やADLに配慮が必要です。

転倒による受傷であった場合は、どういった状況で転倒したのかを確認しましょう。
段差などの環境が原因であったなら、環境を整えることで退院後の転倒を予防することができます。

画像

X線やCT、MRIで↓を確認します。

  • 骨折の程度と部位
  • 神経圧迫の有無
  • 受傷前後での脊柱のアライメント変化

椎体後壁の骨折であれば圧壊が進行しやすかったり、神経が圧迫されやすかったりと予後不良となることが多いです。

脊髄や神経根の圧迫があれば運動麻痺や感覚障害、しびれが生じる可能性があります。
また、受傷時に神経症状がなくても遅発性に神経症状がでることがあります。

受傷前の画像があれば受傷後と脊柱のアライメント変化を比較しましょう。
アライメント変化が大きいほど身体機能が低下すると考えられます。

受傷後も圧壊が進行するため経時的に画像を確認することが大切です。
圧壊が大きい場合、理学療法が圧壊を進行させていないか内容を検討する必要があります。

疼痛

骨性、神経性、筋性のいずれなのか鑑別します。

骨性の疼痛は叩打痛や介達痛が特徴です。
ほかには、荷重時痛、脊柱伸展と回旋時に骨折部が離開や剪断されることによっても疼痛が生じます。

神経性の疼痛は神経の支配領域に放散痛が生じることが特徴です。
僕の臨床経験では、脊柱伸展や回旋を含む動作で放散痛を訴える人が多い印象です。

筋性の疼痛は筋の柔軟性低下や圧痛、収縮時痛が特徴です。
脊柱の後弯変形により脊柱起立筋群や殿筋群に負担がかかるため、疼痛を訴える人が多いです。

ROM

脊柱は骨折部以外の可動性を徒手で棘突起を操作して確認します。
骨折部を安静にするためには他の椎体間の可動性が保たれていることが大切です。

股関節のROMも重要です。
受傷後や手術後は体幹をコルセットなどで固定されるため、脊柱のROMを股関節で補う必要があるからです。
とくに股関節屈曲と回旋は要チェックです。

筋力

骨折部の安静のため、体幹は等尺性筋力を確認します。
コルセットをはずしたあと、体幹の筋力が低下していると動作が不安定になってしまいます。

下肢は全般的に筋力をチェックします。
理学療法が開始になるまでの臥床期間中に下肢の廃用性筋力低下が生じていることが多いです。

神経症状

神経症状は脊髄や神経根の圧迫により起こる可能性があります。
運動麻痺、感覚障害、しびれを評価しましょう。

動作能力

可能な範囲で基本動作と日常生活動作を全般的に確認します。

コルセットにより体幹の運動が制限されるため、↓の動作が困難になることが多いです。

  • ベッドからの起き上がり
  • 床からの起立
  • 靴や靴下の着脱
  • 下腿と足部の洗体や清拭

 

家屋環境

受傷機転が転倒であれば、退院後の転倒を予防するための環境調節は必須です。

また、退院時はコルセットをつけたままであることが多いので退院先のベッドの有無、あるいは導入可能であるか情報収集します。
コルセットをつけたままでも布団から立てなくはないですが、なかなかの身体能力が要求されるため高齢者には少し大変です。

ほかには、食卓やトイレの様式、シャワーチェアの有無をチェックします。
体幹が屈曲できないため、低い座面から起立するのが困難になることが多いです。

運動療法

ROM ex

椎体の圧壊や長期間のコルセット装着により脊柱のROM制限が起こります。
コルセットが外れたときにROM制限がADLを阻害しないように、骨折部以外の椎体間の可動性UPを図ります。
といっても、脊柱の運動は禁忌なので棘突起を徒手で操作してモビライゼーションします。

また、下肢からの上行性運動連鎖で脊柱の伸展を促して後弯変形を予防するために、股関節の内旋ROMの改善を図ります。

コルセット装着時期は脊柱の運動を股関節でROMを代償する必要があります。
股関節屈曲は起立や靴下着脱に重要です。
回旋は靴下着脱や立位バランスに重要です。

筋力トレーニング
脊柱の安定性を得るため、腹圧の上昇を図ります。
腹圧の上昇には↓の筋が関わります。
  • 横隔膜…腹式呼吸でトレーニング
  • 腹横筋…ドローインでトレーニング
  • 多裂筋…上肢挙上でトレーニング
  • 骨盤底筋群…いわゆるお尻の穴をしめるようにしてトレーニング

脊柱の運動を起こさないように実施しましょう。

とくに多裂筋が機能していないと椎体の圧壊が進行しやすかったり、他の脊柱起立筋群に負担がかかって腰痛を引き起こすのでしっかりトレーニングします。

下肢は廃用性筋力低下を起こさないように全般的にトレーニングします。

また、脊柱が後弯変形すると重心が後方に偏位します。
こうなると、立位バランスを保つために膝関節の屈曲位での保持が要求されます。
なので、とくに大腿四頭筋の筋力や持久力はUPする必要があります。

動作練習

脊柱の回旋を生じさせないように丸太様の寝返りを練習します。

起き上がりは、下肢をベッドから降ろして脊柱の側屈を小さくするように指導します。

起立-着座は脊柱の後弯変形で上半身重心が後方に偏位しているので、通常よりも大きく体幹前傾(股関節屈曲)するように指導し、尻もちをつかないように練習します。
必要であれば、床での起立‐着座も練習しましょう。

靴下や靴の着脱、下腿と足部の洗体や清拭は下方リーチ時の脊柱屈曲を避けるために、足を反対側の大腿の上にのせて行うか、ソックスエイドや靴ベラなど福祉用具を使用して行うように練習します。

禁忌とリスク管理

骨折部にストレスがかかるため、脊柱の運動は全方向が禁忌です。

リスク管理としては、神経症状と偽関節の有無は常に注意しましょう。

胸椎・腰椎圧迫骨折の自主練習と生活指導

自主練習

体幹と下肢の筋力トレーニングを指導しましょう。

僕は体幹の筋力トレーニングでは座位での腿上げや上肢挙上を指導しています。
腿上げは大腰筋、上肢挙上は脊柱起立筋の筋力UPが期待できます。
ただし、運動負荷が大きいと腰痛が生じることがあるので注意が必要です。

下肢の筋力トレーニングは起立がおすすめです。
ポイントは着座をゆっくりとするように徹底することです。
抗重力筋の遠心性収縮で効率的な筋力UPと、運動学習による尻もち予防の効果が期待できます。

生活指導

生活指導は理学療法で練習した動作のポイントを指導します。

ほかには、車や自転車に乗っているときの振動が脊柱に負担をかける危険性があるので通る道には配慮するように伝えます。

まとめ

以上、
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こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。