起立の観察と分析のコツ&起立に必要な身体機能

スポンサーリンク

歩行するにもトイレ動作をするにも、まずは起立する必要があります。
しかし、起立が自立できないためにADLが向上しないという患者さんは意外と多くいます。

このように起立の自立は重要ですが、臨床に出てからの勉強は歩行がメインになっていて起立について勉強する機会が少なくなっていませんか?

この記事は起立の観察と分析のコツ、起立に必要な身体機能について書いています。

起立

起立の観察と分析がしやすくなるコツ

重心を前方に移動し、支持基底面を殿部+足部から足部のみに変化させながら、さらに重心を上方に移動する一連の動作です。

言葉にするとシンプルですが、動作観察や分析をするのは慣れていないと難しいです。

そこで、起立を次の3つの要素に分割します。

  • 重心の前方移動
  • 支持基底面を足部のみに変化
  • 重心の上方移動

このように分割すると動作の目的が絞られるので動作観察や分析がしやすくなります。

では、それぞれの要素に必要な身体機能についてみていきましょう。

重心の前方移動に必要な身体機能

重心前方移動は体幹前傾によってなされます。
注意点は、体幹前傾は体幹屈曲ではないということです。

体幹前傾とは股関節屈曲によって骨盤から体幹が前に傾く動作です。
もし、体幹が屈曲すると骨盤が後傾するため、重心が後方に移動してしまいます。

つまり、重心前方移動には

  • 脊柱中間位に保持するための体幹筋の等尺性筋力
  • 股関節屈曲ROM
  • 股関節伸展筋の遠心性収縮筋力

の機能が必要です。

支持基底面を足部のみに変化する際に必要な身体機能

座位の状態では支持基底面は殿部と足部にあります。
支持基底面を足部のみに変化するということは殿部離床するということです。

つまり、支持基底面を足部のみに変化=殿部離床するには

  • 足部の支持基底面内に重心を移動すること
  • 重心移動後に下肢を伸展すること

が求められます。

足部の支持基底面内に重心を移動するには

膝関節屈曲と足関節背屈をして足部を引き(下腿前傾)、足部の支持基底面を重心に近づけます。

そのため

  • 膝関節屈曲ROM
  • 足関節背屈ROM

が必要です。

重心移動後の下肢を伸展するには

  • 体幹前傾位を保持する体幹と股関節筋の等尺性筋力
  • 膝関節伸展筋の求心性筋力
  • 下腿前傾位を保持する足関節周囲の等尺性筋力

が必要です。

注目すべきは股関節と足関節は等尺性収縮であるということです。

重心移動後の重心は足部の支持基底面の後方(踵)にあります。
この重心位置で股関節と足関節を伸展してしまうと体幹と下腿が後傾し、せっかく前方移動させた重心が後方に戻ってしまい、尻もちをついてしまいます。

重心の上方移動に必要な身体機能

重心上方移動は体幹後傾と下肢伸展によってなされます。

体幹後傾には

  • 脊柱中間位を保持するための体幹筋の等尺性筋力
  • 股関節伸展筋の求心性筋力

が必要です。

下肢伸展には

  • 股関節伸展筋の求心性筋力
  • 膝関節伸展筋の求心性筋力
  • 足関節底屈筋の求心性筋力

が必要です。

すべての要素で必要な身体機能

  • 殿部や足底部の表在感覚(床に触れているという感覚がなければその場所に重心移動はできません)
  • 関節の位置や運動を感じる深部感覚
  • 運動の方向や速度、重力の情報を伝える前庭感覚

参考文献

  • 石井慎一郎(2013)『動作分析 臨床活用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践』メジカルビュー社.
スポンサーリンク

ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。