トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行によって生じる疼痛

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トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行は歩行が不安定性になるだけでなく、疼痛を生じさせることがあります。

この記事ではトレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行によってどんな疼痛が生じるのかを書いています。

立脚期における骨盤帯の前額面の運動

トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行について考える前に、立脚期における骨盤帯の前額面の運動について復習しましょう。

立脚初期~荷重応答期で衝撃吸収のために中殿筋が遠心性収縮をして骨盤が遊脚側に下制(約1.5㎝)します。
このとき、立脚側の股関節は5°内転しています。

荷重応答期~遊脚前期で中殿筋の求心性収縮により遊脚側の骨盤が挙上(約1.5㎝)します。
骨盤の挙上により、体幹の重心が股関節に近づくため中殿筋に求められる筋力が小さくなります。
このとき、立脚側の股関節は5°外転しています。

トレンデレンブルグ徴候とは?

単立脚期で遊脚側の骨盤が過剰に下制する現象です。
動作観察では体幹の遊脚側への傾斜、立脚側の肩峰と骨盤の挙上がみられます。

トレンデレンブルグ徴候

デュシャンヌ歩行とは?

単脚期で体幹を立脚側へ傾斜させる現象です。
動作観察では体幹の立脚側への傾斜、遊脚側の肩峰と骨盤の挙上がみられます。

デュシャンヌ歩行

原因は?

トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行はどちらも股関節の外転筋力の低下により、単脚期で骨盤を保持できないことにより生じます。

どちらも原因は同じです。

原因は同じですが、トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行は立脚期を保つための姿勢制御が異なり、それによって生じる問題も異なります。

トレンデレンブルグ徴候で生じる問題

トレンデレンブルグ徴候では筋力低下した股関節外転筋を代償するため、股関節を内転して腸脛靭帯の張力で単脚期を保持しています。

立脚側の股関節が過剰に内転するため、大転子滑液包に圧縮ストレスがかかり、腸脛靭帯には過剰な伸張ストレスがかかります。
これにより、大転子周囲や腸脛靭帯に沿って疼痛が生じることがあります。

また、トレンデレンブルグ徴候では中殿筋の遠心性収縮による立脚初期の衝撃吸収が十分に機能していません。
そのため、踵の軟部組織や距骨下関節、膝関節、股関節に過剰に負荷がかかることになり、疼痛の原因になります。

遊脚側は骨盤が下制するため、遊脚のクリアランスが低下してつまづきやすくなります。

デュシャンヌ歩行で生じる問題

デュシャンヌ歩行では体幹を立脚期側に傾斜させ、股関節外転筋に要求される外的トルクを小さくして単脚期を保持してします。

体幹を立脚側に傾斜するため、遊脚側の脊柱起立筋や腰方形筋の収縮で骨盤を挙上する必要があります。
これらの筋の過剰収縮により、遊脚側の腰背部痛が生じることがあります。

また、遊脚側の骨盤が挙上したぶん、立脚初期は通常よりも高い位置から踵を接地することになり、立脚初期の衝撃吸収作用をもつ踵の軟部組織や距骨下関節、膝関節、股関節に過剰な負荷がかかることになります。

トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行は複合することがある

たとえば遊脚側の骨盤が下制していますが、体幹が立脚側に傾斜していることもあります。
これはトレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行が複合していると考えられます。

トレンデレンブルグとデュシャンヌの複合

この場合はトレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ歩行の両方の疼痛が生じる可能性があります。

参考文献

  • Donald A. Neumann(2012)『筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版』嶋田智明・他訳, 医歯薬出版.
  • 石井慎一郎(2013)『動作分析 臨床活用講座-バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践』メジカルビュー社.
  • Kirsten Gotz-Neumann(2005)『観察による歩行分析』月城慶一・他訳, 医学書院.
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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは。イッコロといいます。 マイペースに勉強している運動器認定理学療法士です。 大阪府の病院で回復期の整形外科疾患と中枢神経疾患の理学療法を担当しています。